遺言の保管(法務局への保管が可能になりました)
発見してもらえなければ、折角作成した遺言は何の効力も発揮しません。
従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり、改ざんされる心配の無い場所に保管しておく必要があります。
一般的に遺言は以下のような場所に保管されているケースが多いのです。
また、2020年より自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が開始されました。
法務局への自筆証書遺言の保管について
そもそも、、、自筆証書遺言には以下のような問題点がありました。
① 遺言作成後の紛失の危険性
② 相続人による遺言書の隠匿・変造の危険性
③ 相続人が自筆証書遺言の存在を把握できない
④ 複数の自筆証書遺言が出てきてしまった
⑤ 自筆証書遺言の作成の真正(「本当に本人が書いたのか?」)を巡る争い
⑥遺言の書き方が間違っており、無効になってしまう
保管制度のメリット
保管制度を活用することで、上記の問題点を解消でき、以下のようなメリットがあると考えられます。
①法務局で遺言書原本が保管されるため、紛失や破棄のおそれがない
②保管申請の際に形式審査がされるため、方式違反のおそれがない
③家庭裁判所での検認手続きが不要となるため、遺言書に基づき、すぐに遺産分割手続きに入れる
保管制度の手続きの流れ
① 遺言者が法務局に法務省令で定める形式で作成した無封の遺言書を持参して申請(遺言者の住所地・本籍地または遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する)
② 法務局で本人確認と形式審査を行い、不備等がなければ遺言書を保管が可能
③ 相続を開始
④ 相続人や受遺者等の相続関係人が、法務局に、遺言書情報証明書の交付や、遺言書の閲覧を請求
⑤ 遺言書が保管されていれば、法務局は請求に応じるとともに、他の相続人や受遺者等に、遺言書を保管していることを通知
⑥ 遺言書の検認手続は不要で、遺産の承継者は、すぐに相続手続可能
公正証書遺言の場合
公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。
ですから、相続人らに遺言書を作成して、公証役場の場所を伝えておけば十分です。
遺言書の存在が明らかになっても、相続人らが公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり、閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありません。
国家資格者に依頼する場合
遺言書作成の際にアドバイスを受けた司法書士・弁護士に保管を頼むという方法があります。
司法書士・弁護士は守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。
従って、遺言書の存在すらも秘密にしておくことが可能です。
第三者に頼む場合
自筆証書遺言の場合、親族等に預けることもあります。
しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあり、被相続人の死亡後、紛争のタネとなりかねませんので、なるべく遺産に何の利害関係がない公正な第三者に保管してもらうようにしてください。
※また、信託銀行へ「遺言の保管・執行」を依頼することも可能ですが、各士業事務所と提供するサービスは同じでも、料金が100万円を超えて非常に高価な場合が多いのです。
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